【新シリーズ】イロハーブをかたちづくるひと|Kaori Ishikawa

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新シリーズがはじまります。
イロハーブをかたちづくる「ひと」の想いと、「もの」の魅力を、これからひとつずつお届けします。

なんかいいな、と思う瞬間がある。そこには、ここで働く人たちのゆずれないこだわりや、温かな想いが静かに宿っています。

素材の呼吸に耳を澄ませる設計士。光と影の美しさを確かめ、空間を愛しむスタッフ。お客様の言葉にならない願いを、丁寧にすくい上げるコンシェルジュ。イロハーブには、それぞれの場所で、強いプロ意識とこだわりを持って働く人がいます。そして、その人たちが選び抜いた家具や道具、何年もかけて育ててきた空間があります。

このコラムは、イロハーブをかたちづくる「人」の想いと「モノ」の魅力に深く触れ、紐解いていく記録です。どのような想いでそれを選んできたのか。何を一番大切にしているのか。そして、そのモノの背景にはどのような物語があるのか。

「なんかいいな」の理由を、人とモノの両側から届けていきます。

People.01

Kaori Ishikawa
イロハーブショップ

「本物」を、暮らしのそばに

2026年5月、イロハーブショップが10周年を迎え、リニューアルオープンしました。お話を伺ったのは、オープンのときからこの場所に立ちつづけてきた、店長の石川 香さんです。

生まれ変わったばかりのショップに足を踏み入れると、まず空気が違うことに気づきます。やわらかな光の落ち方。どこからか、ふわりと漂う心地よい香り。空間ごとに、そっと表情を変えていく音楽。家具が「置いてある」というより、そこに広がっているのは、ひとつの暮らしの景色。

10年の歩みの先で、石川さんが大切にしてきたこと。そして今、何を見つめながらこの場所に立っているのか、じっくりと伺いました。

建築もインテリアも、ひとつの暮らしとして

—— 普段どのようなお仕事をされているのか教えてください。

主に店頭でお客様をご案内するほか、各ブランド様との打ち合わせやイベント企画、SNS発信や商品紹介の文章作成、ご購入後のアフターフォローまで幅広く担当しています。

また、インテリアのご相談もお受けしています。お客様のお話を伺いながら、それぞれの暮らしに合わせた家具や照明を選び、レイアウトを考え、図面を引いてご提案する。そして配送や設置にまで立ち会わせていただくこともあります。

—— かなり幅広いお仕事ですね。

そうですね。これらをトータルで行っているのには理由があるんです。日本では、設計士が間取りを作り、インテリアコーディネーターが内装を整え、家具はインテリアショップが扱う。そのように役割が分かれています。でも、ヨーロッパなどには「インテリアデザイナー」という職業があって、空間のコンセプト設計から図面、内装、照明や家具の選定など一貫して行っています。

私たちも、それを大切にしていて。部屋の質感や温度、光と影のゆらぎ、手触り、香り……そういうものまで含めて、暮らしをまるごとコーディネートするそうすることで、お客様にとって本当に心地いい空間を作ることにつながると考えています。そして、それは私たち住宅会社であるネストハウスだからこそできることでもあるんです。

本物に触れる、ということ

—— 今回のリニューアルのコンセプトはどのようにして生まれたのですか?

イロハーブショップが立ち上がってからの10年間、一貫して「長く使える、普遍的なもの」を置くという軸を大切にしてきました。ただ、このショップがお客様へ本当の意味で提供できる「価値」とは一体何なのか。そこは、ずっと模索を続けてきたようにも思うんです。

それが10周年という節目を迎え、「お客様に本当に価値あるショップとは何だろう、私たちだからできることは何だろう」と改めて考えたときに、自然と浮かんできたのが「五感」という言葉でした。

これまでこの仕事を通じて、世界中の一流と呼ばれる名作家具に触れたり、素晴らしい体験を提供している施設に足を運んだりしてきました。そうやって自分の中に積み重ねてきたものが、このタイミングで自然と言葉になったのだと思います。

そしてたどり着いたのが、「五感で感じ、体験を通して選ぶ空間」というコンセプトです。

—— 「体験を通して選ぶ」とは、どういうことでしょう。

今は、インターネットを使えば情報がいくらでも手に入る時代です。だからこそ、実際に見て、触れて、光を感じながら、「なんかいいな」を見つけてもらいたいと思っています。

それを、私自身が強く感じた出来事があって。今回、新しく「Tom Dixon(トム・ディクソン)」というイギリスの照明ブランドを取り入れたのですが、正直なところ最初は、イロハーブショップには少し派手すぎるんじゃないかなって思っていたんです。動画や写真では何度も見ていたので、商品のことをわかっているつもりでした。

ところが、ショールームで「本物」を目にした瞬間、まるで違ったんです。もう、圧倒的で。その場の空気や触れたときの質感は、画面上では絶対に伝わらない。実際に肌で感じてみないとわからないんだと、気づかされました。

ここ、山口県岩国市で暮らしていても、本物に触れることはできる。本物に触れたときにしか伝わらないものを、確かに受け取れる。そんな場所にしたい。リニューアルでは、そんな空間をつくることを大切にしました。

—— ショップで取り扱う商品は、どのような基準で選ばれているのですか?

「長く使える、普遍的なもの」。これは、ショップができてから変わらない軸です。国内外問わず本当にいいと思えるものだけを、丁寧に選んでいます。

たとえば店内では、イギリスの照明 Tom Dixon の下に、メイドインジャパンの家具を合わせています。海外の豊かな表現力と日本の肩肘張らない魅力があり、それぞれの個性が心地よく調和する空間を作るお手伝いをする。それが、私の仕事だと思っています

10年後の「よかった」のために

—— 10年間ショップに向き合われてきて、リニューアルという大きな節目を経た今、改めて感じていることはありますか?

この仕事は、さまざまな人に支えられているんだなと、改めて気づきました。そして、その人たちに、仕事でお返ししていきたい。そう思うようになりました。

特に、リニューアル準備中は日々の業務と準備に追われる時期もあって。そんな中で、たくさんの方に助けていただきました。ある時、リニューアル前のショップの解体が迫る中、必死に物を移動させていたら、ネストハウスの家づくりをお願いしている大工さんが手伝ってくださったことがあって。

この方にお返しできるとしたら、新築のお仕事につなげることですが、私が直接、お仕事を取ってこれるわけではありません。ですので、ここでネストハウスが大切にしている価値観を体現する。それに共感してくださった方が、いつかネストハウスで家を建てられる。めぐりめぐって大工さんのお仕事にもつながっていく。それが仕事でお返ししていくことではないかと、考えるようになりました。

お客様に対しても、同じです。買ってくださった方、選んでくださった方に、仕事でお返ししたい。私たちの仕事って、5年後、10年後に結果が出るものなんです。お客様に、10年経っても愛しく使い続けられるものをご提案できていたか。それは、時間が経ってみないとわかりません

最初に選んでくださった一つを本当に気に入ってくださったら、また新しい家具を迎えに来てくださる。アフターフォローをきちんとお届けできていれば、また来たい、と思っていただける。そういう一つひとつの積み重ねの中で、ようやく「結果」が見えてくるんです

だからこそ、私たちは10年後もここにあり続けなければいけない。そして、お客様にとって最適なご提案ができるよう、私たち自身もずっと成長し続けないといけない。ショップを続けていくことも、私たちが学び続けることも、お客様への責任だと思っています

—— イロハーブショップが、お客様にとってどのような存在でありたいと思いますか?

来るたびに何か新しい発見があって、自分の暮らしの幅が、ちょっとずつ広がっていく。そんな場所であってほしいと思います。

引越しをした時や家を建てた時に家具を一式揃えて、そこから買い替えないという方は多いと思います。でも、人は暮らしの節目や年を重ねていく中で、心地よい空間も変わっていくものです。だから、最初に全部を揃えて、そこで止まってしまわなくていいんです。毎日じゃなくても、ふと思い立ったときに、インテリアをちょっと入れ替えてみる。空気を、変えてみる。家の中は、一日のうちでいちばん長く過ごす場所ですから、そのときどきの自分に合わせて、暮らしを更新していけばいい。
インテリアって、本当に楽しいんですよ。好きな方にとっては、一生つづけられる趣味だと思います。

もちろん、家具は大きな買い物ですから、簡単に買い換えるのは難しいかもしれません。だからこそ、本当に心地いいものを選んでほしい。少し取り入れるだけで、本当はもっと「好き」と思える暮らしに出会えるかもしれない。そっと背中を押し、暮らしの幅を広げるお手伝いをするのが、私の仕事だと思っています。10年後に、「あのとき出会えてよかった」と思ってもらえるように。これからも、そんな気持ちで向き合っていきたいです。

イロハーブショップについてはこちら

 

 

取材・執筆 田中亜由美

投稿者

iroherb

生活サービス・その他
- コミュニティ複合施設
くらしの#なんかいいな。に、出会う場所。

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